▶「うちの子にはどれが合うんだろう?」
前回は、おくすりを包むおやつは「使うこと」が目的ではなく、その子が無理なくおくすりを続けられることが大切だというお話をしました。
今回は、「うちの子にはどれが合うんだろう?」
そんなときの参考になるように、動物病院でもよく使われる投薬補助食品や、投薬に活用できるものをご紹介します。
▶「まずは、それぞれの特徴をご紹介します」
投薬に使われるものには、いくつか種類があります。
| 種類 | 主な用途 | 固さ | 私の印象 |
| メディボール | ・少量の錠剤を包みたい ・飽きっぽく、いろいろな味を試したい | ねりけしくらい | とても柔らかく包みやすい。薬のサイズに合わせて自由に変形できる。 |
| 動物病院専用 投薬ちゅーる | ・粉薬やシロップを 飲ませたい ・お腹が敏感な子 | ピーナツバターくらい | 粘り気があり包みやすい。粉薬をしっかり練り混ぜることができる。 |
| ピルポケット | ・大きめの錠剤、カプセル を包みたい | ソフトクッキー | 好みが分かれる。おやつを丸呑みする癖のある子に合う。 |
| 缶詰 (ウェットフード) | ・普段から缶詰が好きな子 ・特別なおやつだと 警戒する子 | 種類によってさまざま | 形状によっては薬を包みやすい。 |
※どれが合うかは、その子の好みやおくすりの種類によって変わります。
① メディボール
私が普段よくおすすめする商品の一つです。
柔らかく、おくすりを包みやすいので、少量の粉薬や錠剤を包むときにも扱いやすいと感じています。
犬用と猫用がありますが、メーカーへ確認したところ、犬が猫用を食べても、猫が犬用を食べても問題ないとのことでした。
違いは主に味の種類です。
「犬用は食べなかったけれど、猫用なら食べてくれた。」
そんなときには、犬用・猫用にこだわらず、味を変えて試してみるのも一つの方法です。
② 動物病院専用投薬ちゅーる
一般的なちゅーるより少し粘り気があり、おくすりを包みやすく作られています。
また、脂質が控えめなので、お腹の調子が気になる子にもおすすめしやすいと感じています。
粉薬にも使いやすい商品です。
動物病院でのみ購入することができます。
③ ピルポケット
こちらも投薬補助食品の一つです。
もともと中央に薬を入れる「穴(ポケット)」が空いている独自の形状です。
メディボールに比べると1粒のサイズがやや大きめで、弾力(噛みごたえ)があります。
薬を入れて入り口をキュッと閉じるだけで、簡単にセットできます。
人気がありますが、メディボールに比べると味や種類に限りがあり、私の経験では、好みが分かれやすい印象があります。
④ 缶詰(ウェットフード)
実は、缶詰(ウェットフード)も投薬に活用できることがあります。
形状によっては、おくすりを包みやすいものもあり、普段から缶詰が好きな子では、自然に食べてくれることもあります。
ただし、水分が多いものや、粒感が強いものでは包みにくいこともあります。
また、開封後の長期保存が難しく、投薬補助専用品に比べると、おくすりだけ残されることが多い印象があります。
▶「食物アレルギーがある子は」
おやつを選ぶときには、原材料も確認してあげることが大切です。
動物病院では、牛肉や鶏肉にアレルギーのある子には、魚系のものを提案することもあります。
その子が普段から食べ慣れているものの中から選んでみるのも、一つの方法です。
また、処方されているおくすり自体に「○○風味」のようにフレーバー(味付け)がついている場合もあります。
フレーバーなしの錠剤や粉薬も選択できますので、アレルギーがある場合は、獣医師に相談するとよいと思います。
▶「匂いだけ嗅いで終わっちゃう……」
せっかく用意しても、匂いを嗅ぐだけで食べてくれない子もいます。
食べてもらうためのアプローチもさまざまです。
投薬補助食品を少し温めて香りを強くしたり、おくすりの入っていないものと交互に食べてもらったりする方法もあります。
また、上あごや前足の甲に少量を塗って、舐めてもらうこともあります。
それでも食べないときは、少しだけ口の中に入れてあげることで、
「これ、おいしいんだ。」
と分かり、自分から食べてくれるようになる子もいます。
ただし、無理に食べさせることがかえっておくすりの時間を嫌いになるきっかけになることもあります。
その子の様子を見ながら、無理のない方法を選んであげてくださいね。
▶「大切なのは、その子に合うこと」
今回ご紹介したものには、それぞれ良いところがあります。
だからこそ、「これが一番」ではなく、その子が食べやすいもの、その子が無理なく続けられる方法を見つけること。
それが何より大切だと思います。
▶「少しでも穏やかなおくすりの時間になりますように」
おくすりを包むおやつや缶詰は、魔法のようにすべてを解決してくれるものではありません。
それでも、
「今日は食べてくれたね。」
「昨日よりスムーズだったね。」
そんな小さな積み重ねが、飼い主さんにも、その子にも安心につながっていくことがあります。
この記事が、
「うちの子には、この方法が合うかもしれない。」
そう思えるきっかけになれば嬉しいです。
ちいさな家族のためにも、どうぞご自愛ください。
